独り言その5
書道教育のこと |
僕は高校教師だったとき、主に書道を教えてました。見た目は体育教師らしいけど(笑)。 |
当時の生徒で、自閉症の傾向のある子がいて、その子が何故か書道部に入ってきました。はっきり言って、何をやってもニブイ子で、その子に教える自信はありませんでした。最初はまともな文字とは思えないようなものを書いてたし・・・。 |
しかし、どういうわけか、僕は気に入られたみたいで、部活には休まずに来るし、黙々と書作に励んでるんですね。そうこうしているうちに、その子に合った書体・書風をみつけて(僕の好きな書風が合ってたみたいで楽でした(笑))メキメキ上達しました。今はどうしてるか知らないけど、「書道関係の仕事をしたい。」とまで言うようになっていました。 |
僕の書道教育法というのはちょっと変わっていて、ほとんど朱での添削をしないんです。朱墨でマルをつけたり直したりするのは、作品を汚すだけだと思っているから。書作品は、同じようなものはいくらでも書けるけれど、全く同じ作品は二度と書けません。たとえ失敗作と思われるものでも、人の作品を汚したくはないんです。で、どうするかというと「いいねぇ。じゃあ今度はここをこうしてみよう。もっとよくなるかもしれないよ。」と言って別紙に書いてみせるんです。「ここが良くないから直そう。」と言わないところがポイント。 |
書道や勉強に限らず、人を伸ばすためには、叱るより褒める方が有効ですね。褒める方が難しいんですけど・・・。 |
あっ。ちなみにその子は男の子でした。残念ながら(笑)。 |
2001.10.27